起き上がる学校とは

私たちは東日本大震災と福島第一原子力発電所事故によって全自治体が避難を余儀なくされた福島県双葉郡8町村において、教育を通じた復興の取組み「教育復興」に取組んできました。避難先の学校や避難を経て帰還をした地域での学校・社会教育に携わり、多くの先生方と協働を積み重ねてきました。

そうした取組みの中で、先生たちからお伺いする震災・原発事故以降の学校での取組みや困難に関するエピソードはいずれも聞く機会、読む機会がないものばかりでした。震災・原発事故以降、多くの全国紙やテレビなどのマスメディアが被災地を取り上げ、学校もまた連日のような取材を受けてきました。避難先や帰還後の入学式や卒業式、始業式や終業式、学習発表会に運動会など、度々マスメディアによって報道がされてきました。

その一方で、学校の中で大きな役割を担っている教員が取り上げられることは限定されていたのではないでしょうか。こうした話を当事者の先生たちに聞いてみると「先生たちは聞かれないと話さないから」や「子どもたちの方が映えるから」などのリアクションがありました。

災害などの有事の際に、教育現場がどのようになっていたのか。先生たちはご自身も被災をしている状況下で、何を考えながら子どもたちと向き合ってきたのか。こうした先生たちの体験や経験は、これからの教育を考えるにあたり貴重なアーカイブとなるのではないかと考え、2020年から双葉郡8町村で勤務経験のある先生たちの聞き取り活動が開始されました。

2021年に日本財団の支援を受け、15名の先生たちのインタビュー冊子「起きあがる学校―3.11から10年 福島県双葉郡の先生たちへのインタビュー」が完成しました。完成した冊子は福島県内のすべての小中高校に寄贈することができました。そして、2023年にはラッシュジャパンの支援を受け、インタビュー記事を蓄積しながら公開するwebサイト「起きあがる学校web」の構築が始まりました。今後、このサイトをプラットフォームとし、インタビューを公開していく予定です。

ちなみに「起きあがる学校」という名称は、企画段階から設定されていたものではありません。先生たちのインタビューをしていく過程で、被災や避難といった未曽有の災害による被害の難しさを多々感じる一方で、避難先で立ち上げた仮校舎や仮設校舎では、整っていない教育環境において「教育が何をできるのか」や「学校とはどんなところであるべきか」などの新しい学校を立ち上げていく勢いや高揚感を感じることも少なくありませんでした。先生たちのお話を伺いながら、これはもう一度学校を立ち上げることであったり、災害から起きあがっていくことこそが適した表現なのかもしれないと考え、「起きあがる学校」という名称になりました。

新型コロナウィルスによる突如の休校措置であったり、災害や紛争による教育活動の停止など、VUCA時代には学校や教育もまた例外とはならず、常に有事と隣り合わせの状況にあると考えられます。そうした状況下で、2011年以降、福島県の先生たちがどのように学校を起きあがらせ、未来を描こうとしてきたのか。そうした記録を残し、公開していくことを通じ、またどこかで起きあがろうとしている学校や先生たち、地域の後押しになればと期待をし、今後も活動を継続していければと考えています。

インタビューへのご協力をお願いします

2011年以降、福島県双葉郡の学校に勤務されていた先生にインタビューの協力を依頼しています。被災当時の体験に限らず、避難先の学校での教育活動であったり、帰還後の学校の取組みについてなどについて、スタッフが訪問し証言を記録致します。ご協力いただける方は、お問合せフォームからご連絡をお願い致します。

一般社団法人リテラシー・ラボとは

私たちは、市民の社会参画を多様でカジュアルにデザインしていきたいという想いで集まったチームです。メンバーの多くが政治や行政分野で活動をした経験があり、いわゆる「カタく」捉われがちな分野を緩めながら、ハードルを下げながら、広く市民に拓いていくことを大きな目的としています。その目的に向かうために、行政や民間団体と協働して教育プロジェクトをデザインし、市民が社会参画をする意義や多様な声を社会に加えていくことの楽しさを多くの人たちと共有していきたいと考えて活動をしています。

震災・原発事故以降の福島県では、避難を経験した地域の教育に深く携わっています。避難先の学校や、避難を経て帰還した地域の学校・社会教育に携わり、先生や地域の方々と協働しながら探究的な学びの設計と実践に取組んでいます。

ホームページ:https://literacy-lab.org/

運営団体・連絡先

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